令和2年度 福岡市博多区と春日市・大野城市周辺地域の不動産市場の動向について
当社が所属しております(公社)福岡県宅地建物取引業協会では、毎年県内の主に不動産売買・賃貸仲介や不動産管理を行う51社の宅建業者を対象に、2月上旬~3月上旬にわたってヒヤリング・インタビューを行い、福岡県内の主要エリアの不動産市場を動向についてまとめた物を発表しています。
今回、令和2年度の不動産市場の動向が発表されましたので少しご紹介します。
令和2年度 福岡県内の不動産市場の動向について
国土交通省が発表した令和3年1月1日時点の公示地価は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、商業地・工業地・住宅地すべての用途平均で0.5%マイナスと、6年ぶりに下落に転じました。
三大都市圏がそろって転落に転じる一方で、福岡県は商業地が2.4%、住宅地が1.5%と全国で最も高い伸び率となりました。
三大都市圏よりも割安感があることに加えて、福岡市内で進む大規模な再開発事業や、人口増加を背景とした賃貸マンション需要などが支えた結果です。
福岡市は商業地で6.6%の上昇を示し、全国トップの伸び率となりました。住宅地についても3.3%上昇しています。
ただ、コロナ禍の先行きが不動産市場の影響を与えるのか、今後も注視する必要があります。
令和2年度 福岡市博多区の賃貸市場の動向
◆転勤などの自粛が続きファミリーの空室率は低い
コロナ禍の影響により福岡市博多区でも転勤などの自粛が続き、繁忙期でも大きな波がありませんでした。
結果、賃貸物件はファミリーの空室率が低い状況にあります。新築物件がないことも一つの原因です。
◆好立地化が進み法人・単身者の需要はますます増加
今春の市場特性をみると、どの世帯も空室が少ない状況が続いています。
福岡市博多区は好立地化が進んでおり、法人をはじめ単身者の需要はますます増加しています。外国人は法人や学校が直接部屋を確保する傾向が強くなりました。
ファミリー層や高齢者向け物件は特に不足しています。
令和2年度 福岡市博多区の売買市場の動向
◆実需市場は波があっても好況が継続
エリアにもよりますが、顧客の購入意識は高いまま維持しています。
ただコロナの影響で所得が下がることを懸念し、供給側の対応として、狭小土地や建物のコストカット(オプション制)などで総額を抑える傾向が強くなっています。
福岡市内中心部では、築年が浅い物件は不足傾向が続いており、実需市場は波があっても好況が継続と思われます。
一方、インバウンドも皆無に近い状況が続き、出店意欲の減少などから、コロナ禍前に受注していた案件が消滅あるいは延期になる事例もあるといいます。
コロナ禍以前に計画されていた市街地の再開発などは、今後若干の修正で進むと思われます。
令和2年度 福岡県春日市・大野城市周辺地区の賃貸市場の動向
◆新築アパートの建設が増加し古い物件に空室が目立つ
個別の動向としては、この背景には地元の地主が賃貸住宅を建設するという図式から、地域外の個人投資家が土地を購入しアパートを建てるという図式へ変化しており、新築物件の供給が相次いでいます。
新築物件への入居志向が活性化することで、築15年程度の物件に空室が目立ち、賃料を値下げせざるを得ない状況になっています。
結果的に築20~30年の物件と賃料帯が同一となり、同年代賃貸物件の空室率が高まっています。
令和2年度 福岡県春日市・大野城市周辺地区の売買市場の動向
◆少子化に伴い、狭小住宅の購入者が増加
個人向け住宅について、春日エリアでは新築戸建の狭小住宅を購入する傾向にあり、土地の坪単価が上がっています。
土地は狭くても2,000万円前後であれば売れています。建売に限らず注文住宅の引き合いは堅調です。過去には土地で50坪以上を求める声が多くありましたが、最近では30坪前後の希望者が多数です。
中古リノベーション再販業者は、フルリノベーション物件への関心が高く、堅調な売れ行きを見せています。
◆立地や利回りのよい物件は市場に出る前に決まる
投資物件については、春日エリアの場合、取引傾向としては建物の築年数が古くても土地値に近いアパートを探しているオーナーがいます。差別化を図るため猫を飼育できる賃貸アパートなどの建設も増えています。
以上、令和2年度の福岡県・福岡市博多区・春日市・大野城市の不動産市場の状況レポートをご紹介しました。
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