賃貸経営で「サブリース」や「一括借上げ」は本当に魅力的ですか?
以前、新聞やTV・雑誌などで不動産融資の件が大きな問題になり話題になりました。
その中で「サブリース」という言葉が出てきているのお気づきですか。
今や不動産賃貸経営の事業計画の一つとして欠かせないサブリース。
このサブリースとは本来は「転貸」の意味ですが、ここでは賃貸物件の一括借上げシステムの意味で用います。
建物を建てる建設会社と管理する不動産会社が一緒、もしくは関連会社のときにサービスの一つとして提案されています。
賃貸物件のサブリースのメリットは?
サブリースのメリットは、ずばり「手間いらず」という一言です。
賃貸オーナー様にしてみれば、賃貸マンションやアパートを建てるのはいいけれど、空室が出るのが一番の不安材料です。
その不安を取り除いて、安心して家賃収入を得ることができる「サブリース」はとても魅力的です。
また賃借人はサブリース業者のみですから、税務処理は極めて簡単になります。
会計関係の効果は他にもありまして、融資を受ける銀行へ出す資料も簡単です。
不動産管理の手間や事務の手間は大幅に削減でき、忙しい兼業の賃貸オーナー様や、体力的にきつい賃貸オーナー様にはとてもありがたいです。
まさに賃貸オーナー様に賃貸物件を安心して建設させるために作られた便利な仕組みと言ってもいいかもしれません。
良いことばかりではない賃貸のサブリースの問題点
賃貸物件のサブリースには大きく3つの問題点が上げられます。
❏問題その1 相場より低い保証家賃額
サブリース会社から賃貸オーナー様に支払われる賃料は、通常の家賃相場の80%~90%程度とされています。
ただサブリース会社としては、周辺地域と比較して確実に入居が見込める金額で査定するため、相場よりも低い査定の金額になり少ないリターンしか見込めなくなるケースがあります。
そのためローンを組んでマンションやアパートを建てる方ですと、返済額程度の賃料しか入ってこなくなる場合があり、所有だけで収益がない賃貸経営になってしまう事もあります。
ほかのケースでは、サブリース業者が契約欲しさに契約時に著しく高い家賃設定をしてしまうことです。
普通に考えれば大きな経済成長がなければ家賃が不相応になってきます。
❏問題その2 いつまで家賃保証してくれるの?
これが一番問題となっています。
一般的には
「最初の10年間は家賃保証します、そして10年後は2年ごとに家賃を見直す」
という契約が多いです。
では10年後の家賃はどこまで保証してくれるの?ということです。
その他にも「特別な事情」があれば契約内容を変更することができるケースも多いです。
この特別な事情とは「周辺地域の家賃が下がった」ということも含まれます。
つまり最初の10年間の間でも「保証する」と聞いていた家賃が下げられる事もあるということです。
そして保証家賃の改定交渉があった時に、賃貸オーナー様がこれを断ればサブリース業者は契約を解約することができます。
裏を返せば「10年以上の見通しなんてたたないよ!」という判断の現れでもあります。
ちなみにこの10年間というのは新築物件の場合のケースが多く、既存物件の場合は期間がさらに短くなります。
他にもハウスメーカーなどは、建築受注と利益を確保するためと賃貸オーナー様の不安を解消するために、30年間の家賃保証をセットとして販売します。
そして高い工事費の存在を目立たなくするために、高い家賃保証をします。
のちに粗利をけずって家賃保証をしないといけなくなると、法外な家賃減額請求を求められることもあります。
❏問題その3 サブリース契約解除が難しい
一方で賃貸オーナー様からサブリース契約を契約期間満了前に解約したい場合はどうでしょうか。
当然ながらサブリース契約は正式な契約になるので、賃貸オーナー側からとはいえ簡単に契約解除ができるわけではありません。
通知義務があったり、契約違反になるときもあるので十分注意しましょう。
サブリース業者の契約書のフォーマットには、大抵の場合「賃貸オーナーは、サブリース業者に少なくとも6ヶ月前に解約の通知を申し入れることによって、本契約を解除できる」のような文言が記載されています。
何らかの事情ですぐにサブリース契約を解除したいといっても6ヶ月以上の期間がかかります。
上記のような文言が状態でサブリース契約を結び、期間途中で解約を申し出ると契約違反になるケースがあります。
契約違反になった場合は、契約書に記載されている違約金が発生する可能性が高いですので、契約前によく確認しておきましょう。
すべての賃貸物件でサブリースは可能なの?
サブリース業者も商売として賃貸物件の家賃保証や一括借上げをしています。
ということはすべての賃貸物件でサブリースが可能でしょうか?
立地がいい場所ばかりに賃貸物件があるわけではありません。
周辺が田んぼや畑が多い地域で入居者が集まるでしょうか?その地域の将来性はありますか?
新築物件や築浅の賃貸物件ばかりではありません。
建物は魅力的なものに仕上がりそうですか?品質はどうでしょうか?
ご自身が入居したいと思う建物ですか?
そう考えれば、すべての世の中の賃貸物件が満室になる事が不可能なのと同じように、すべての賃貸物件でサブリースができるはずがありません。
サブリースは確かに手間もかからず、空室の不安がない非常に楽な賃貸経営方法ですが、想像以上に大きな決断であり、賭けであるという認識を持ってください。
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