「朝三暮四」は、実は「思いやり」の話?
故事成語の「朝三暮四(ちょうさんぼし)」。
猿使いが「トチの実を朝3つ、夜4つやる」と言ったら猿が怒り、「じゃあ朝4つ、夜3つだ」と言い換えたら大喜びした、というお話です。
昔から「目先の違いにこだわり、結果が同じであることに気づかない愚かさ」の例えとして使われますが、私たち不動産業界に長く身を置いていると、「お猿さんの気持ち、すごく分かるなぁ」と思うのです。
決して、計算ができないわけではないのです。 「今、この瞬間に4つ欲しい事情」が、きっとあったはずなのです。
「総額」が同じでも、「価値」は違う
不動産の契約において、私たちが一番大切にしているのがこの視点です。
例えば、2年間で支払う総額が全く同じお部屋があったとします。
1.【朝4つプラン】初期費用は安いが、家賃は標準
2.【朝3つプラン】初期費用はかかるが、家賃は安い
新社会人の方や新婚さんで、「家具家電を揃えるのにお金が必要!今は現金を残したい」という方には、間違いなく「朝4つ(初期安)」が正解です。
一方で、「退職金でまとめて払って、毎月の年金生活を楽にしたい」というシニア世代の方には、「朝3つ(家賃安)」こそが、安心できる暮らしになります。
トチの実の合計数は同じでも、「いつ、どれだけ必要か」は、お客様の人生のタイミングによって全く異なるのです。
不動産屋の仕事は「猿使い」ではなく「翻訳家」
そう考えると、猿使いが提案を変えたのは、猿を騙したのではなく「猿の今の生活事情(空腹具合)を汲み取ってあげた」という、優しさだったのかもしれません。
私たち不動産屋の仕事も同じです。 オーナー様が決めた条件をただ伝えるのではなく、
「このお客様は、今は出費を抑えたい時期だから、礼金を下げる代わりに家賃を少し調整できませんか?」
といったように、お客様の「今」と「未来」のバランスを見ながら、オーナー様との間を取り持つ翻訳家のような役割だと思っています。
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