分譲マンションの99%は建替えが難しい?最新事情とこれからの選択肢
「あなたの分譲マンションは建替えがほぼ不可能です。」
そんな衝撃的なニュースが先日、日経新聞で報じられました。
試算によると、所有者1人あたり2,000万円を追加負担しても、約99%のマンションは建て替えができないとされています。
築40年を迎え、そろそろ建替え話が持ち上がっている方もいれば、「うちは築10年だから、まだ先の話でしょ」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、国土交通省の調べでは、2021年の時点で築40年以上の分譲マンションは全国で約115万戸。さらに10年後には2.2倍、20年後には3.7倍まで増え、築40年以上のマンションは約12万2,000棟に到達する見込みです。
この膨大な数のマンションに対して、建替えができるのは「ほんの一部」。つまり、これから日本中で“建替えられない分譲マンション問題”が本格化していきます。
マンション建替えの法律
マンションの建替えは、主に2つの法律によって実現します。
① 区分所有法
現行法では、建替えには区分所有者の「5分の4(80%以上)」の賛成が必要です。
しかしこのハードルが高すぎることから、政府は2026年4月施行予定の改正で、一定条件下で「4分の3(75%)」に緩和する方向で動いています。
また今回の大きな改正点として、所在不明の所有者を意思決定の母数から除外できる制度 も導入予定。
これにより、連絡が取れない所有者が決議の妨げになるケースが減る見込みです。
② マンション建替え円滑化法
古いマンションの建替えや敷地売却をスムーズに行うための特別法です。
主に以下のような支援が受けられます。
・容積率(建物を建てられる量)を緩和して建替えしやすくする
・行政の関与により手続きが簡素化
・敷地売却の仕組みを活用できる
たとえば容積率200%の土地を400%にできれば、住戸数を倍にして、その増えた住戸を販売し、建替え費用に充てるという方法が可能になります。
しかし後述の理由により、法律が整っても建替えができるマンションはごくわずかです。
それでも建替えが難しい6つの理由
建替えが“ほぼ不可能”と言われる理由は法律ではなく、現実的な問題です。
① 建築費の高騰
建築費は30年前の3倍以上。
解体費も上昇しており、住民1人あたり2,000万円の負担も当たり前の時代です。
今後も建築費が下がる見込みはほぼありません。
② 修繕積立金の不足・滞納
築40年以上のマンションでも積立金が十分とは限りません。
滞納者の負担をどうするか?という問題も大きな壁です。
③ 所有者の高齢化
築40〜50年となると住民の多くは年金生活。
老後資金を取り崩して数千万単位の負担は現実的ではありません。
④ 近隣トラブル・容積率の壁
建物を高くすると日照問題が発生し、近隣住民の反対で容積率緩和が難しいケースが多い。
都心・商業地以外では特に厳しいです。
⑤ 郊外では売却益が出ない
容積率を増やせたとしても、「増やした住戸が高く売れない」 → 「住民の負担が増える」ため、事業として成立しづらい。
⑥ 理事会・住民の合意形成が難しい
築40年以上のマンションが約3万3,000棟ある中で、実際に建替えが実現したのはわずか0.99%とされています。
全員の生活背景・資金状況が異なる中で、80%以上の賛同を得るのは至難の業です。
建替えが無理ならどうする?現実的な3つの選択肢
建替えが難しいからといって「資産価値ゼロ」ではありません。
選択肢①:修繕しながら住み続ける(長寿命化)
ヨーロッパでは100年、200年の建物が当たり前。
建物は「建て替える」ものではなく「修繕して使い続ける」文化があります。日本も次第にこの方向へ移行しつつあります。
選択肢②:売却して「賃貸」または「戸建」へ住み替える
将来の修繕費負担が大きくなりそうな場合、早めに売却し、賃貸や戸建てへ住み替える方が「リスクが低い」ことも多いです。
マンション内のコミュニティが弱いと管理・修繕も進まず、“価値が落ちてからでは売りにくくなる”ため、判断は早い方が有利です。
選択肢③:解体して土地を売却する(敷地売却方式)
マンション建替え円滑化法では、所有者の5分の4(80%)以上の同意があれば、建物を取り壊して土地を売却し、売却代金を分配できる制度が用意されています。
建替えも修繕も無理 → 最終手段として現実的です。
まとめ
マンション建替えの問題は「費用が高いからできない」という単純な理由ではありません。
法律・住民の意識・資金・合意形成・立地条件
これらが複雑に絡み合って、ほとんどのマンションで建替えが難しくなっています。
ただし、2026年施行予定の区分所有法改正により、意思決定のハードルは多少下がり、再生の選択肢も広がります。
とはいえ、建替えに固執するよりも、
「長寿命化」や「住み替え」、「敷地売却」など別の出口戦略を考えることが非常に重要です。
そのためにも、管理組合への参加・住民の当事者意識・資産の現状把握、これらが欠かせません。
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