令和3年度 福岡市博多区・春日市・大野城市周辺の不動産市場の動向
当社が所属しております(公社)福岡県宅地建物取引業協会では、毎年福岡県内の主に不動産売買・賃貸仲介や不動産管理を行う53社の宅建業者を対象に、2月上旬~3月上旬にわたってヒヤリング・インタビューを行います。
その結果を踏まえて、福岡県内の主要エリアの不動産市場を動向について発表しています。
今回は令和3年度の不動産市場の動向が発表されましたので少しご紹介します。
令和3年度 福岡県内および福岡市の不動産市場の動向について
3月22日に発表された令和4年1月1日時点の公示価格は、全国全用途平均で2年ぶりに上昇に転じ、回復傾向が見られました。
福岡県内では全用途平均3.5%に上昇で、商業地は前年比4.1%と7年連続上昇し、上昇率は2年連続の全国首位となりました。
住宅地も3.2%と8年連続で上昇しました。
福岡市の商業地は9.4%に上昇しましたが、地価高騰が続いた福岡市天神周辺の再開発地区は天神コア跡地周辺で県内最高額を維持したものの、景気の先行き不透明感などから横ばいとなりました。
一方で、福岡市博多区祇園町の土地が㎡単価210万円、上昇率が18%で全国3位となりました。
福岡市営地下鉄七隈線の延伸と福岡都市圏のオフィス需要に支えられ、地価の上昇につながっているみられています。
令和3年度 福岡市博多区の賃貸市場の動向
福岡市博多区の今春の賃貸市場は、移動は少ないものの入居率は良好。
成約率の高いエリアは、
・シングル層やDINKs層(子どものいない共稼ぎ夫婦世帯のこと)外国人の場合は、博多駅自転車圏
・ファミリー層は博多駅から少し離れた場所で、駐車場が確保でき賃料が高くないところ
・高齢者は、バスや買い物に便利な場所
になります。
どの層においても築浅物件の人気が高く、今後も需要は増加するとの予測です。
また博多駅南エリアは賃貸市場が活発です。
コロナ禍でも新築物件が数棟建ち、最新設備で賃料も上がっていますが、供給すれば入居は決まる状況です。
シングル向けに1Rにリビングを加え床面積が30㎡を超えると、坪単価9,000円~10,000円を超える物件もあり、賃料が高騰しています。
福岡市営地下鉄の東比恵駅周辺は、賃料設定が博多駅南より高額な物件も見受けられます。
7万円前後の賃料に最も人気があるため、床面積が約27㎡(約9坪)の物件が増えています。
令和3年度 福岡市博多区の売買市場の動向
青果市場跡地に今年4月に大型商業施設「ららぽーと福岡」がオープンしました。
JR竹下駅から徒歩10分圏内の約8万6千㎡の広大な土地に誕生したため、経済的効果を期待する声が高いです。
実際に「ららぽーと福岡」の北側に分譲マンションが2棟建ち、既に完売しています。また南へ下った場所にもいくつもの事業計画があります。
一方で福岡市営地下鉄 七隈線が博多駅に乗り入れますが、博多駅周辺には古い戸建てが点在し、高齢者が取り残されているため、相続問題を解決し、再開発に繋げられるかが課題です。
また冷泉エリアは、外国からの観光客増大を見込んでホテル建設が増加し、地価を高騰させましたが、コロナ禍に伴う計画変更や工事の中止などから、地価は高止まりしています。
今後は中心部が高値のため、郊外へと流れる傾向にあり、投資は地価が高く事業化競争が厳しいようです。
令和3年度 福岡県春日市・大野城市周辺地区の賃貸市場の動向
春日市エリアの賃貸市場に目を向けると、昨年の夏は賃貸から分譲マンションや戸建てへの移動が目立ち、賃貸から賃貸という流れはほとんどなかったものの、冬に入ると賃貸から賃貸への移動が見られるようになりました。
シングル層についてはコロナ禍の影響で入居が減少し、高齢者は施設などへの入所が増える可能性があり、法人は解約が増え、外国人は入国制限次第とみています。
大野城市エリアの賃貸市場に関しては、入居状況は良好であり、なかでも駅近物件が人気です。
西鉄 白木原駅周辺はファミリータイプが多く法人契約は少ない状況で、シングル層は社会人が多く、九州大学春日キャンパス(大学院)も新入生が少なくなっています。
外国籍の大半はアジア系が多く、賃貸入居にあたっては学校の教員が保証人となっており、移動は少ない状況です。
また、古い物件に対し相続対策として多額の投資を行うリノベコンサルは少なくなっています。
令和3年度 福岡県春日市・大野城市周辺地区の売買市場の動向
不動産売買でみると春日市エリアは地価が値上がりし、注文住宅や建替えは見当たりません。
分譲マンション用地の相談はありますが、大きな土地がなく、新規の供給はこれから難しい状況です。
コロナ禍に関わらず地価が場所によっては120%近く上昇しており、西鉄 春日原駅が新しくなり、高架になることに伴い、地価は更に上昇する見通しです。
高齢となった親が施設に入ったり亡くなったりすることで、子供達が資産を相続するものの、ほぼ帰郷する見込みが無いという理由で解体し売却するケースが増えています。
春日市では戸建てやアパートなどの古い家屋の解体が増加しています。
投資に関しては収益物件を探す人が増えています。
大野城市エリアは、西鉄 白木原駅の高架線工事に伴う駅舎の移動が地価に影響し、数年前から高値で推移しています。
居住用で一番人気は西鉄とJR駅間のエリアです。以前は40坪で狭いと思っていたものが、30坪を切り1区画22坪、坪70万円で成約しているところもあります。
春日市・大野城市エリアは売買需要が高いため、物件が表に出ることはあまりありません。
法人がコロナ融資を使い、手元資金を厚くして収益物件を買っています。収益物件に関しては家賃を高めに設定している物件の売り手が多く、3年前くらいから高止まりしている傾向です。
以上、令和3年度の福岡県・福岡市博多区・春日市・大野城市の不動産市場の状況レポートをご紹介しました。
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