自分の実家が「特定空家」に認定されないためには(前編)
平成27年5月に「空家対策特別措置法」(空家等の対策の推進に関する特別措置法)が完全に施行されました。
この法律の内容としては市町村の調査によって「特定空家」と認定されれば、指導・勧告・撤去命令などが出されます。
所有者が撤去命令に従わない場合は、代執行による建物の解体も認められます。
そしてこれが一番大きいですが『勧告された時点で固定資産税の軽減特例もなくなる』ことになります。
これからの時代は「特定空家」を発生させない事と、空家自体を増やさないようにしなければなりません。
どんな家が「特定空家」になるの?
今、全国で約820万個の空家があります。そのうち賃貸用や売出し中ではない「未利用住宅」は約312万戸とされています。
この「未利用住宅」全部が「特定空家」に該当するわけではありません。
上記の法律には
「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態又は著しく衛生上有害となる恐れのある状態、適切な管理が行われていないことにより 著しく景観を残っている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあることが認められる空家等」
を特定空家と定義しています。
周辺の建物や居住環境、歩行者のなどに対して悪影響を及ぼす恐れのあるかどうか、その危険が迫っている等が考慮されます。
要するに放置された迷惑空家が「特定空家」になります。
特定空家に指定されるとどうなるの?
市町村は特定空家の所有者に対して、必要な措置を助言・指導・勧告・命令等をすることができます。
所有者それらの命令等に応じない場合や、対応が不十分な場合は、市町村が行政代執行による建物の解体を実施する場合もあります。
当然、解体費用は所有者に請求されます。
その他にも所有者が命令などに違反すれば、50万円以下の過料、立ち入り調査を拒否したり妨害すれば20万円以下の過料が課せられます。
空き家対策の方針はできるだけ早い段階で決めましょう
たとえば親が亡くなった時には、家の問題を考えるような心境ではないと思います。
その後に兄弟姉妹が集まり、相続財産の分け前を話し合う時には、家の問題もしっかり決めておきましょう。
とりあえず空家のまま相続して、処分は何年後か落ち着いてから考えよう等と後回しにすれば、兄弟姉妹の意見が変わってまとまらなくなったり、挙げ句の果て機には話し合う機会すら持てなくなったりする事にもなりかねません。
不動産を売るにしても貸すにしても、親の荷物を整理したりしなければなりませんが、その為には相続人全員の協力が不可欠です。
将来的なニーズや人気があまり見込めそうもない地域では、酷な言い方かもしれませんが、売れるうちに売ったほうがいい場合もあります。
相続税が課税された家を売った時に、その税額を取得費に加算できる特例は、相続税の申告期限から3年以内に売却することが要件になりますので十分注意してください。
不動産の共有名義の相続は避けましょう
このブログでも何度か話していますが、共有名義の相続は避けるべきです。
親から相続した家を売ることが難しい場合に、兄弟姉妹の共有にするとあとで処分しようとする時に意見がまとまらなかったり、協力してくれなかったりして思うように段取りが進めないことが多々あります。
空き家の手入れをするための補修、または賃貸として他人に貸そうとしても、共有者全員の同意が必要になり、兄弟姉妹間の温度差が余計なトラブルを生み出す元になります。
とにかく共有だと色々面倒なことが色々と起こります。
親の財産が家しか無くて、金銭で調整するのが難しい場合は、その家も共有するしか方法がないかもしれません。
その場合は共有名義にする際に、予め家を売ることを共有者全員で決めておき、それをそれぞれ持分で分配するように決めておくのも1つの案です。
後編へつづく
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