高齢者の自宅の売却トラブルに注意!自宅の売却契約はクーリング・オフできません
全国の消費生活センター等に、
「強引に勧誘され、安価で自宅を売却する契約をしてしまった」
「解約したいと申し出たら違約金を請求された」
「自宅を売却し、家賃を払ってそのまま自宅に住み続けることができるといわれ契約したが、解約したい」
といった、自宅の売却に関する相談が寄せられているそうです。
実は一般消費者が所有する自宅を不動産業者に売却した場合、クーリング・オフはできません。
契約の内容をよく理解しないまま、安易に売却の契約をしてしまうと、特に高齢者の方の場合は、住む場所が見つからなかったり、解約の際に違約金を払うことで生活資金が少なくなったりするなど、今後の生活に大きな影響が生じる可能性があります。
そこで国民生活センターでは、自宅の売却トラブルに関して相談事例を紹介していますので、ここで一部、アドバイスも含めてご紹介したいと思います。
相談事例1「長時間の勧誘を受け、説明もなく書面も渡されないまま強引に売却契約をさせられた」
一人暮らしの自宅に突然、不動産業者が2人で訪ねてきた。介護サービス業者かと思ってドアを開けてしまった。住んでいるマンションを売らないかと言われたがそんなつもりはなかった。
しかし、とにかく売れ売れと勧められ、朝10時から夜9時半まで居座られた。翌日も2人で訪ねてきて朝10時から夜7時半まで居座られた。
「マンションを売ったら入所できる施設は探してあげる」と言われ、自分も高齢だし、新型コロナウイルスの感染状況で気が弱くなったところもあって「売値を2~300万円上乗せしてくれるなら」と答えたところ、2,300万円で売ることになってしまった。
何かの書面に署名捺印したが、何の書類か覚えていない。「ちょっといやだ。待って」と言ったが取り合ってもらえなかった。
不動産業者から書面等を一切受け取っておらず、もらったのは会社のパンプレットのみだ。マンションの買い手が待っていると言われているが、契約をなかったことにしてほしい。
(2021年1月受付 80歳代 女性)
相談事例2「嘘の説明を信じて、自宅の売却と賃貸借契約をしてしまった」
知人宅に電話があった後で不動産業者が来訪し、その日のうちに知人が自宅マンションを約2,000万円で売却し、家賃18万円でそのまま住む契約をしたという。
築30年以上ではあるが、このマンションの相場はもっと高額なはずだ。知人はこのマンションが10年後には取り崩されるという虚偽の説明を信じて契約したようだ。仮に10年すんだとすると家賃が売却代金を上回ってしまう。
知人はやはりキャンセルしたいと考え、1週間後に喫茶店で業者の担当者と会い、キャンセルしたいと伝えたが、できないと説得され納得し、既に手付金を受け取ってしまっている。
知人は判断力が低下しているように思われる。解約できないか。
(2020年6月受付 70歳代 女性)
アドバイス1「自宅を不動産業者に売却した場合、クーリング・オフはできません」
一般消費者が不動産業者に自宅を売却する場合には、宅地建物取引業法に定めるクーリング・オフ(宅地建物取引業法 第37条の2)ができず、売買契約が成立してしまうと、無条件で契約を解除することはできません。
売主が契約を解除する場合は、手付金の倍額を買主に支払う、いわゆる「手付倍返し」で解除することになり、手付解除の期限が過ぎると、ほとんどの場合、契約条項に基づく違約金が必要になるため注意が必要です。
不動産に関する取引は高額な場合が多いので、違約金の額も高くなるケースが多いです。
アドバイス2「よくわからないことや納得できないことがあったら、解決するまで契約はしない」
不動産に関する取引は、必要な手続きも多く、複雑な仕組みになっていることもあります。
どのような仕組みになっていて、誰にいくらでいつ売却するのか、売却後に住宅に不具合が生じた場合にはどうなるのか等についてよく確認しましょう。
不動産業者の説明を聞いたり書類に目を通しても、よくわからないことや納得できないことがあるときは、それが解決するまでは契約しないようにしましょう。
アドバイス3「勧誘が迷惑だと思ったらきっぱりと断り、今後勧誘しないように伝えましょう」
不動産業者から「有利な話がある」などという勧誘の電話がかかってきても、安易に訪問を許さず、自宅を売却するつもりがない場合は「自宅は売りません」・「契約しません」等と売却の意志がないことをその場できっぱりと明確に不動産業者に伝えましょう。
一般消費者が勧誘を断ったのにもかかわらず、勧誘を続けることは禁止されています。(宅地建物取引業法 第47条の2、宅地建物取引業法施行規則 第16条の12 一号の二)
今後も勧誘してほしくない場合には、勧誘しないよう「もう勧誘はしないでください」「やめてください」等と明確に不動産業者へ伝えましょう。
また、迷惑な勧誘に対しては、通話録音装置や迷惑電話対策機能の付いた電話機を利用することも検討しましょう。
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