老朽化した空き家が隣にあるときの不動産の売却で悩んでいる
人口や世帯数が減少している地方都市や過疎地域だけでなく、大都市圏でも空き家の問題は深刻になっています。
空き家となると老朽化が進み、倒壊などの危険性も高まっていきます。
まず空き家の問題点は?
空き家になると
「放火などによる火災の危険性、地震による倒壊で避難路が塞がれたり延焼を助長したいるする防犯上の問題」
があります。
更には通学路であれば、敷地内のブロック塀の倒壊による安全性の問題や、敷地や建物が荒れ放題になると衛生上の問題、不法投棄などによる周辺の生活環境の問題など、様々な問題が起きる可能性が指摘されています。
隣に老朽化した空き家があると不動産の売却が不利?
まったく同じ立地条件・敷地条件・道路条件をもった2つの中古住宅「A」と「B」があるとします。
Aの隣は手入れの行き届いた戸建住宅があり、Bの隣には今にも倒れそうな老朽化した空き家があるとすれば、どちらが売りやすいのかは一目瞭然です。
周辺事例などから算出した土地や建物の査定額がA・Bとも同じだったとしても、同じ売買価格で売れるわけではありません。
理由は買主の立場で考えればわかりやすいです。
たとえ売主が
「今まで長年何も問題は無かったからお隣のことはあまり考えないでほしい」
と言われても、買主からすれば
「いつ倒れてくるかわからない」
という不安のほうが大きいです。
Bの敷地を購入した買主が、建替え工事をする時に、その影響で隣の老朽した建物が倒壊でもしたら面倒な事になると考えをめぐらせる事もあるでしょう。
例えば老朽化した隣の家の取り壊しや建替えなどが既に決まっているのであれば話は別ですが、そうでない場合は土地・建物の流通性に支障をきたすことになります。
荒廃の進んだ建物が隣にある時の影響は大きい
隣に老朽化した空き家があって、それなりに価格を下げれば売買が成約することはあります。
しかし、一体どれくらい価格に影響するのかは、隣の家の老朽の程度・老朽化した隣の家との間隔・環境や衛生上の問題の有無などによっても変わるため、一概に言えません。
隣の家がちょっとした大雨や強風でも瓦やトタンの飛散などが懸念される状態、あるいは環境や衛生面で大きな問題を生じている状態であれば、いくら価格を下げても売れないという事も考えられます。
隣の空き家と同時売却も交渉してみる
自分が売却しようとしている土地や、中古住宅の隣が老朽化した空き家があるとき、あるいは住んでいても老朽化が進んでいる家の時には、その隣と同時に売却するのも1つの方法です。
売主に対してそのようなアドバイスをしたり、隣の家の所有者と交渉にあたってくれる不動産業者も多いです。
隣の家の事情は様々なので、同時売却を持ちかけてもなかなか上手くいくものではありません。
しかし、少しでもその可能性があるのなら実現を模索してみるべきです。
特に自分の土地や隣の土地の面積が狭い時には、2つを一緒にすることで需要が広がり、単独で売却をするよりも有利に話が進められる場合もあります。
接道条件が悪い住宅が空き家の隠れた原因に
すこし余談になりますが・・・・
老朽化した空き家の問題は、相続や所有する個人の事情によるところが大きですが、実は1つ隠れた大きな要因となっているのが「不適合接道」の問題です。
不適合接道とは?
都市計画区域内において建築基準法で定められた道路へ適切に接していない事により、建築確認を受けることができずに、建物の建替えが認められないものです。
法律では、原則幅員4mの建築基準法上の道路に、2m以上接した土地でなければならないと定められています。
基本的に接道義務を満たしていない土地には建物を建てることができません。
また接道義務を満たしていない敷地に建物が既にある場合は、その建物を取り壊したとしてもその敷地に建物を建築する事ができません。
いわゆる「再建築不可」と呼ばれるものです。
総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」によりますと、全国合計で
「敷地に道路が接道していない住宅」が約99万2千戸、
「幅員2m未満の道路に接している住宅」が230万戸、
「幅員2m~4m未満の道路に接している住宅」が1433万戸
となっています。
不適合接道の土地は都心部の木造住宅密集地域に多く、大規模災害時には大きな支障になると指摘されています。
しかし老朽化した住宅を建て替えることだけでなく、大規模な修繕も難しい場合が多い為に、このような土地を売却することも困難です。
仮に売却できても売主の手元に残るお金は少なく
「それなら放置しておこう」
と考える所有者が多いことも想像できます。
その他にも固定資産税や解体費用の問題など様々ありますし、所有者が不明の場合は行政が思い切った対策がなかなかできないケースも多いです。
いずれにしても老朽化した空き家は様々な問題を抱えています。
防災対策上の課題として早急に取り組みことが望まれます。
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