分譲マンションを売却した後に修繕積立金は返してもらえるの?
少し前、自宅マンションを高く売って、今よりグレード高い分譲マンションや高級住宅等に買い替えをする人が目立っていました。
そうした中で、ごくまれに自宅マンションの売却時に
「すでに払った修繕積立金を返してほしい」
と管理組会に返金請求するケースがあるそうです。
その時点で使われずに残っている修繕積立金に対し、持分割合に応じた既払い分を返還してほしいというのです。
もしこうした返金請求があった場合は、分譲マンションの管理組合は返すべきでしょうか?
分譲マンションの修繕積立金とは?
まず、分譲マンションの修繕積立金とは
「将来に渡って安全、安心、快適な生活がおくれるようにマンションの共用施設や各種設備を常に最適な状態に維持すべく、定期あるいは必要に応じて実施する修繕工事のための原資です」
具体的には
・一定年数を経過するたびに計画におこなう修繕
・不足の事故やその他特別の事由により必要となる修繕
・敷地及び共用部分の変更
・建物の建て替えに関わる合意形成に必要となる項目の調査費用
・敷地及び共用部分などの管理に際し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
などが挙げられます。
このように用途を明確に限定しているのは、「管理費」との区分会計が曖昧にならないようにするためです。
修繕積立金は管理組合においてとても大切な金銭です。
区分所有法では
「各共有者(区分所有者)は規約に別段の定めが無い限り、その持ち分に応じて共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する」
と定め、管理費や修繕積立金の支払い義務を一様に区分所有者に負わせています。
修繕積立金は債務です
つまり、修繕積立金は管理費も含めて区分所有者にとっては「債務」にほかならないのです。
一度滞納すると、全額回収するまで管理組合は督促が続きます。
修繕積立金は管理組合において「債務」と「債権」両方の金銭的性格を持ち合わせています。
修繕積立金の返金請求に管理組合は応じる必要はありません
結論から言いますと、合理性のある特別な事情がない限り区分所有者の要求に応じる必要はありません。
2004年4月に長期滞納をしていた管理費などの返金をめぐり、最高裁判所からの判決がありました。
「管理費などの債権は区分所有者に対して発生するもので、請求期間は5年間とする」
と結論付けられました。
逆に言いますと、管理組合は5年以内に管理費や修繕積立金を回収しないと消滅時効で回収不能になってしまうという事になります。
分譲マンションにお住まいの区分所有者は、例外なく修繕積立金という「債務」を負います。
一方、支払われた修繕積立金は管理組合にとっての「債権」になり帰属は管理組合に移管されます。
つまり、引き落とされた段階で修繕積立金は「管理組合のもの」になるので返金請求はできません。
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