なぜ不動産オーナーは賃貸物件の耐震化工事をしないのか?
日本では1981年(昭和56年)に建築基準法が改正されて耐震基準が厳しくなりました。
それ以前に建てられた建物の多くは「旧耐震基準」と呼ばれ、耐震基準がゆるい基準に沿って建築されています。
そのような物件は地震より老朽化とも相まって、倒壊する可能性があり建物の耐震化が重要な課題になっています。
1981年(昭和56年)以前に建てられた建物は危険
以前に地元紙の西日本新聞で特集で
「福岡県内の大型施設などの診断基準結果」
が公表されされました。
それによりますと、福岡県などに報告された496棟のうち、震度6強から7程度の大規模地震で倒壊・崩壊する危険性が高いと判定させられた建物が29棟に上ったそうです。
その中には市庁舎や大学病院も含まれているとの記事が載っておりました。
新聞には施設名もすべて公表されており、当社があります西鉄雑餉隈駅周辺でも2箇所ほどありました。
不動産オーナーさんの場合、自分の住宅以外にも経営する賃貸住宅も耐震化する必要があるので大変です。
特に1981年(昭和56年)以前に建てられた建物の場合は、早急な耐震診断・耐震工事をしなければならないのですが、多くの不動産オーナーさんは
「それはわかっているが・・・」
と先に踏み込めずに悩んでおられるケースが多いです。
耐震工事をしても空室の改善にはならない
1981年(昭和56年)以前に建てられた建物の場合や、更に築年数の古い賃貸物件については建物の耐震性を診断し、建物の基礎や土地の地盤の状況は確認しておくべきです。
診断の結果、建物の耐震性が不足していると判明したら耐震補強工事をしなければなりません。
しかし多額の費用をかけて耐震補強工事を行っても、入居者に安心を与える事ができますが、実は家賃の値上げや空室の改善には直接結びつきません。
老朽化の進行した賃貸マンション・アパートは、目先の修繕に追われて空室や家賃滞納、家賃の下落による収益の悪化に陥っているケースが多く、不動産オーナーさんの悩みの種になっております。
建物の耐震診断の重要性をもう一度確認しましょう
たとえ、建物の耐震補強工事を思い切って行っても、建物の基礎についてはあとから補強することができません。
建物調査の結果、基礎工事に問題があると判明した場合は、解体もしくは建て替えを検討する必要があります。
そうはいっても解体や建て替えには、
・入居者の立ち退きが必要(立退き料)
・建物の解体費用
・新築を建てる場合は建設費や諸経費など
多額の費用とエネルギーが必要になります。
そのような気の遠くなる事業を考えると、建物の耐震診断をしようとしない気持ちは本当によくわかります。
しかしそこで目をつぶっていても何も解決しません。
大きな震災の直後にはたくさんの人の関心が集まりますが、2・3年と経つと興味が失いかけていきます。
「日本が地震大国であるという事実は変わりません」
いざという時に入居者の命と財産を守れるような建物にしておく必要が不動産オーナーさんにはあると考えます。
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