熱海の土石流災害を教訓に――「盛土規制法」で土地の管理義務が変わる!
2021年(令和3年)に静岡県熱海市で発生した大規模土石流を覚えている方も多いでしょう。
豪雨による盛土(もりど)の崩壊が原因となり、多くの尊い命と財産が一瞬で奪われました。
この痛ましい災害を受けて、国は「盛土等」に関する規制を強化するための法律「宅地造成及び特定盛土等規制法(通称:盛土規制法)」を施行しました。
規制区域に指定されると何が変わる?
2025年5月26日から、福岡市全域がこの盛土規制法の規制区域に指定されます。
これにより、一定規模以上の「盛土」や「切土」「土砂の仮置き」を行う場合には、事前に許可が必要となります。
「宅地じゃないから関係ない」と思われがちですが、この法律は土地の用途を問わず適用されます。つまり、農地や空き地であっても該当する場合があるのです。
所有している土地、放置していませんか?
規制区域内では、過去に行った盛土や切土であっても、土地の所有者等に常に安全な状態で維持する責務が課されます。
例えば以下のような兆候が見られる場合は要注意です。
・盛土に亀裂が入っている
・盛土から大量の水が染み出している
・擁壁や崖がぐらついている
このような現象は、周囲の土地や人命を脅かす可能性があります。放置しておくと、行政から是正命令が出されるケースもあります。
対策工事に「助成金制度」もスタート
安心してください。こうした危険箇所の改修には、助成制度も設けられています。
福岡市では、2025年6月1日から以下のような対象に対して工事費の助成がスタートします。
・2メートル以上の擁壁や崖
・一定の範囲に建物がある土地
・老朽化した擁壁や斜面の補強
助成内容は、対象工事費の3分の1(※上限は100万円または300万円、工事内容により異なる)です。
土地の「価値」は安全と一体
不動産を所有している限り、管理義務と安全確保の責任は避けられません。
今回の盛土規制法は、資産価値を守るための最低限のルールでもあります。
「うちは大丈夫」と思っていても、一度プロに相談することでリスクを未然に防げることも。特に古くからの宅地や、擁壁に心当たりのある方は、ぜひ一度、現地を確認してみてください。
お問い合わせ先
福岡市 都市計画局 開発・盛土指導課
TEL:092-707-3902

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