賃貸アパートでの入居者退去の強制執行に立ち会った時の話
最近12月のこの冬の時期になるとふと思い出すことがあります。。
数年前の真冬の年末の時期に、当社が管理していた賃貸アパートの入居者退去の強制執行に立ち会いました。
結果的にその日は大変な1日になりました。
強制執行の理由は家賃の長期滞納
その賃貸アパートの入居者のAさんは数十年前から長年入居している年配の女性の方でした。
家賃は振込ではなく、毎月当社に持参してきました。
現在は家賃の支払いは振込か口座引き落としでお願いしていますが、以前は当社まで家賃を持参する人も多かったのです。
無口な方で来店した際も二言三言会話して、サッと帰っていました。
その方がある時から家賃を持ってこなくなりました。
何度も訪問して家賃の支払いの催促
今までそんな事が無かったでもしかしたら具合が悪くなったかと心配しました。
連絡をとろうにもこの方は固定電話も携帯電話も持っていません。
アパートに訪問すると、本人に会うことができお元気でした。家賃の話をすると「明日持っていく」と話したのでそのまま帰りました。
しかし、次の日家賃を持ってくることはありませんでした。再度訪問して話をしても「明日持っていく」と同じ話で堂々巡りになり、結局ズルズルと家賃が滞納しはじめました。
生活保護の申請を拒否
連帯保証人のAさんのお姉さんが遠方に住んでいるので、家賃を滞納している事情を説明しました。
ただ、お姉さんもご高齢で年金でその日暮らしがやっとでとても家賃を払う余裕はない。しかもここ数年は妹から連絡を拒絶されて、ほとんど会ってないので困っているそうです。
Aさんも仕事をされていないので収入がありません。
お姉さんと相談して考えた末、役所に生活保護を申請するように話してみました。するとAさんも前向きに考えて、役所に申請して手続きが始まりました。
ところが、役所の方がAさんの生活状況を把握するためにお部屋の中入ることをAさんが拒否しました。
「生活保護は受けたい、でも部屋の中には入れたくない。」
これではどうにもならず、生活保護を受けることはできませんでした。
いよいよ法的手続きを開始
古いアパートなので家賃自体は安いですが、それが何ヶ月も滞納すれば流石に結構な金額になります。
督促に関しても、その頃には訪問しても居留守を使い会うことはできません。督促状はいつもポストに入れてはおりますが反応はナシ。
オーナー様にも状況は逐一報告はしておりましたが、このままでは滞納が増えるばかりで、入居者も誠意ある対応が見受けられないので、訴訟を起こして最悪の場合は強制執行も辞さない方向で行くことを決めました。
弁護士の先生にお任せをして訴訟手続きを進め、裁判が始まりましたが、Aさんは予想通り出廷しませんでした。
そして明け渡し訴訟の勝訴後に、強制執行の申し立てを行い、明渡しの催告の日程が決まりました。
以前、強制執行のドラマが放映されていましたが、まさにこの状況になりました。
部屋に立てこもり、退去しないので警察へ通報
まずは裁判所の執行官がアパートに訪問して明け渡しの期日を本人に告知します。
私どもも現場に同行し、さすがにAさんも居留守を使わずに出てきて無言で文書を受け取りました。
この時点で何人かに一は期日前に退去する人もいますが、今回はそのケースではなく強制執行の当日も普通に住んでいました。
その日は私を含めて、弁護士の先生・裁判所の執行官・執行補助者、そして入居者のお姉さんにも来てもらいました。
執行官が玄関ベルを鳴らし、呼びかけますがAさんは応答なし。執行補助者が玄関カギを開錠するもドアが開きません。どうやら玄関ドアに自分で内側にカギを設置していました。
その後も呼びかけると「警察を呼べ」一点張り。しかたなく警察を呼び、警察官の方からの再三の呼びかけにやっと応じて部屋から出できました。
今まで強制執行に何度も立ち会ってきましたが、ここまでのケースは初めてでした。
この時点で既に3~4時間経過。
室内に入るとまさにゴミの屋敷、山のような荷物で埋まっています。それらを執行補助者方が外へ出していきます。
なんとか無事、強制執行が完了
とにかく部屋の荷物を出すのが大変で、なんでこんな物が室内に?と思うものが続々出てきます。
Aさんには貴重品等は自分で出してもらい、来ていたお姉さんと一緒に移動を促しましたが、建物の前で荷物が出されるのをたたずんで見ています。
この荷物に関してはとりあえず裁判所が1ヶ月ほど保管をするので、保管場所に後日取りに行くことになります。そして引き取らない荷物に関しては処分されます。
この強制執行に関わる費用・荷物の処分代はすべてオーナー様負担となります。正直家賃も滞納されて、入居者を退去させるに多額の費用を負担していただくのは大変申し訳無い気持ちになります。
今であれば家賃保証会社がこれらの手続きを負担してもらえるのでオーナー様的にはとても助かります。
後日、連帯保証人のお姉さんに滞納家賃分だけは支払ってもらうことができたでの良かったです。
荷物がすべて出された後、玄関の施錠したのを見届けると、Aさんはお姉さんと一緒に建物から出ていきました。その後はお姉さんのご自宅で一緒に住んでいるそうです。
すでに夕方近くになっており、結局朝から1日かかった強制執行の現場となりました。なので、12月になるとふとあの大変だった強制執行の現場を思い出します。
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