「住宅ローン」の名目で不動産投資用の物件を購入、何が問題なのか?(後編)
(前編)では不動産投資初心者のYさんが不動産セミナーに参加して、不動産コンサルタントから、不動産投資物件を住宅ローンで購入するという話でした。
結局Yさんは破産してしまう事になるのですが、今回はこの話の中での問題点とこのトラブルを避ける方法について紹介します。
キーポイントは住宅ローンの「目的」
そもそも住宅ローンや不動産投資ローンなど金融機関との間で締結する「金銭消費貸借契約」には、様々な条項が規定されています。
住宅ローンを例にあげれば、借りる人は自分又はその親族が居住する不動産物件購入の為に、金銭を借り受けることになり、それが目的として規定されます。
今回の話では契約の目的と実態が異なっている(投資物件を購入するために住宅ローン借りる)わけです。
そして契約で決められた一定のルール違反をすると、残金を一括請求されるというわけです。
Yさんが住宅ローンの目的条項に違反したために、住宅ローンの残金の一括返済を求められたというわけです。
詐欺とみなされる場合も・・・
A銀行はYさんに騙されて金銭を貸し付けているわけですから、民法上の詐欺や刑事上の詐欺罪に該当する可能性もあります。
刑事上の詐欺罪に該当する場合は、刑事手続きを経た後、罰金や懲役刑などが科せられる可能性もあります。
ただ、刑事罰となるような詐欺は、相当程度悪質な事案に限られると考えられます。
トラブルを避けるためには
まずトラブルを避けるには、契約書をよく見ることが重要です。
住宅ローンがそもそもどのような商品なのかという事を考えれば、住宅ローンを利用して投資物件を購入することは契約違反だということはすぐにでもわかるはずです。
自分自身で契約書の内容を理解する自信がない場合は、相談するなど契約書の内容を噛み砕いて教えてもらい理解しましょう。
もしトラブルに巻き込まれてしまったら
もしトラブルに巻き込まれてしまった場合は、まずは金融機関と交渉しましょう。
今回であれはA銀行との関係ではYさんが全面的に悪いですから、法的に争ってもほぼ勝ち目はありません。
金融機関と交渉して、不動産投資ローンに契約をし直してもらうというのが一番無難な方法です。
金利が多少高くなり、利回りが悪くなろうとも、最悪のケースを避けられる可能性はあります。
金融機関に他のローン商品がない場合は、他の金融機関への借り換えを検討し、それが叶わない場合は、投資物件をできる限り高く売却し、一括返済をすることを考えましょう。
もし投資物件売却後も債務が残った場合は、残りの債務の支払い方法などについて交渉して、できる限り長期の分割払いに応じてもらうことが良いと思います。
とにかく、まずはきちんと契約書がどういう意味を持つのか、受けても良い融資なのか、買っても良い不動産物件なのか十分に気をつけましょう。

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