分譲マンションのお部屋での賃貸経営はあまりオススメしません
分譲マンションのお部屋を賃貸で貸すことを考えるには、将来の賃貸の需要予測を見極めることが大切です。
一番気がかりなことは、分譲マンションの各部屋の所有者が「住まなくなったら賃貸で貸せばいい」と思っている人が多くなることです。
少ないうちはいいですが、「単なる仮住まい」としてしか考えてない人が増えてしまうと、そのマンションは資産価値低下の危険性が高まります。
賃貸の空室のリスク問題について
分譲マンションを賃貸で貸そうと考えたとき、空室のリスクの問題があります。
長期間にわたり入居者がいない場合だけでなく、入居者が入れ替わるときにも家賃収入がない期間が生まれます。
単純に家賃✕12ヶ月で年間の収支を予測することはできないです。
仮に空室が1年間続けば、住宅ローンの支払いは別にしても、分譲マンションの管理費や修繕積立金、固定資産税などの支払いで規模にもよりますが、年間約50万円程度が必要になります。
上記のような支払いに備えた積立をしておこうと考えると、家賃収入で住宅ローンの支払いができるという考えは実はけっこう厳しいです。
賃貸は将来の需要を見極めることが重要です
自分が住まなくなった住宅を誰かに貸すにせよ、売却するにしてもその時点でその不動産に需要がないとどうすることもできません。
分譲マンションの営業トークでよく言われるのが「駅から近い分譲マンションですので、賃貸でも借り手がすぐみつかります」といった説明がされることがあります。
確かに駅から近いのであれば将来的にある程度の需要は見込めます。
しかし、その地域で賃貸物件が増えて供給過剰になればたとえ駅から近くても家賃を10万円で貸そうとしているのに、7万円ぐらいでないと借り手がつかないといった事も予想されます。
大都市圏なら需要はまだしばらく堅調という見方もありますが、自治体の資料などを元に町丁目ごとの人口の動きをみると、決してそうとは限らないとこに気が付きます。
また学生による賃貸需要が大きな街では、少子化による大学キャンバスの閉鎖や移転などで賃貸物件が一気に供給過剰になる危険性があります。
これから日本の人口は減っていき、住宅需要も減退することが予想されます。
すでに総務省の統計で、住宅の空家数は820万戸にも達しています。
そのうち賃貸用の住宅の空室が約430万戸にもなっており、都市部のマンションでも空家は決して珍しくありません。
分譲マンションの資産価値が低くなるケースとは?
まず自分が分譲マンションに住まなくなった時に賃貸で貸せなかったり、希望通りの家賃収入が得られなかったりすると、管理費や修繕積立金の滞納者が増える可能性があります。
分譲マンションに住まない区分所有者が増えることで管理組合の運営に支障がきたすことがあります。また、管理組合の理事会の役員のなる人が減ることも不安材料になります。
そしてマンションの管理会社への支払いが滞るようになると、管理委託契約が解除されてしまいます。
しかも自主管理(管理組合が自分たちで建物の管理業務を行う)をしようと言い出す人も無く、異様に荒廃する分譲マンションも今増えています。
分譲マンションの購入者の全員が「住まなくなったら貸せばいい」と気楽に考えているのであれば、その分譲マンションは将来的な資産価値など無いと見るのが賢明な判断です。
もちろん将来的な利益が見込めるような優良な不動産物件だと金融機関が判断すれば逆に有利に働くこともあります。そのためには空室リスクが低くて高い家賃水準が維持できる不動産物件であることが求められます。
転勤など一時的にお部屋に住まなくなり、将来戻る可能性があるのであれば、定期借家契約等で賃貸でお部屋を貸すのは良いと思います。
ですが、分譲マンションのお部屋での賃貸経営は、あまりオススメしません。慎重な不動産物件を選びましょう。

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